二人暮しをしてから初めての年末年始を迎える。
男二人だからって適当なものを食べないように、と母親達が気を利かせて御節を持って来てくれた。
黒豆は苦手なんだけどなぁ、なんて言ったら多分怒られるので、ありがとうとだけ返す。
そうして昼は過ぎ、あとは正月早々任務が入っているシカマルが帰るのを待つだけだった。





年明け





部屋に戻り、受取った御馳走を並べる。
前日大急ぎで片付けた部屋は何となく広々としている。
普段は二人でいるし、掃除をしたから尚更だろう、こんなに広かったっけなんて思った。
ゴミを散らかすとシカマルに怒られるから、普段は冷蔵庫の横に大きなゴミ袋がある。
缶・瓶と、ペットボトルと、燃えるゴミと、燃やせないゴミと、あと…プラスチック。
几帳面だよなぁと思いつつ、空になったペットボトルと蓋をそれぞれの袋に突っ込んだ。

蓋を開けると、海老、伊達巻き、肴、昆布巻き、栗きんとん、黒豆…赤と黄色と黒が散らばる。
きらびやかで普段は食べない料理に少しばかり心が踊る。

「シカマル、早く帰ってこねぇかなぁ…」

いつの間にか増えた独り言に気付かないまま、暖房のスイッチを入れる。
途中で投げ出していた昼食の片付けをし、ソファに寝転がった。
テレビを付けると正月番組のだらだらギラギラした画面が映り、司会の今田がはつらつと喋る。
騒がしいのは嫌いじゃないが、なんとなく寂しい気がする今はあまり楽しいものではない。
うーん。うーん。
気紛れに目を瞑る。

「寝正月ですねーお前は。なんて身分だ羨ましいこって」
「…貴族は庶民とは違うのだよシカマルくん」
「この犬男爵め。…ただいま」
「おー、おかえり」

眠気なんてなかった筈なのに、気が付いたら既に外は暗かった。
カーテンは締められている。
きっとシカマルがやったのだろう。

「オレ、何時間寝てた?」
「知るかよ。お前何時に寝たの」

覚えてない。でもきっとそれはどうでもいい事だろう。
ふと思い出し、昼に受取った重箱を指差す。
自分で作った訳では無いのだが、何故かちょっと自慢気に。

「おせち!超すげくね?」
「おっしゃー正月っぽい!数の子はお前にやろう」
「イエー。じゃあ優しいシカマルくんには黒豆を差し上げよう」
「えー」
「くーろーまーめー」
「は?何それ通じねーんだけど」

笑いながら暖めた雑煮を注ぎ、中の餅が固いとちょっと文句を付けられた。
それでも餅を口に運んでチラと見ては、うーんまずい、もう一口。

付けっぱなしだったテレビはお笑いとニュースとバラエティばっかりで、でもそれでも楽しい。
御節を貰うまで、本当は食べる予定で買い込んでいたカップ麺と菓子パンじゃないから?
久々の連休で時間の無駄遣いという最高の贅沢をしているから?

「シカマル、明日の任務は?」
「ねーよ」
「うん、じゃあ今日はセックスでもしようか」

こればっかりは、愚問でしょ。
後片付けは明日でいいや。
明日も幸い休みだし、ちょっと人肌恋しいし。

「おしるこ食って、風呂入ったらな」

何より互いにその気って久しぶりだし嬉しいし。





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20090102




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