換えたばかりのケータイだからまだ使い慣れない。
薄くってポケットに入れやすいそれは、多分オレが一番似合っていると思しき赤。
それをいじりながら電車に乗ると、皆取り憑かれたように画面と向かい合っているもんだからおかしくなってしまった。

どうせ大した事はしていないのだ。
ただただ時間を持て余しているだけ。
そんな事が絶対と言っていいほどないアイツは、きっとこの光景にウンザリするだろう。
そんな事を思うと、ケータイをしまいたくなるのは別段不思議でも何でもない。

「オレはこうしてシカマルと居られるんだったらケータイなんて」

彼の照れた顔を見るのは久しぶりすぎて、照れていると言う事実に気付くのが遅れた。
気付いた瞬間、嬉しくて顔が綻(ほころ)んでしまった。
シカマルはものすごく癪だ、といった顔をしている。

現代人はどうしてこんなにも依存しているんだろうね。
携帯なんてなくたって生きていけるのに。

携帯があったからこそできた交流も勿論ある。
それは否定できないしするつもりもない。
だけど、こんなに身近な人だったら、ケータイなんかじゃなくって手をとって目を見て話したい。
一つ一つを噛み締めたい。
言葉ってさ、肌に浸透するんだよ。
それがすごくすごく気持ちがいいもんだから、止められないんだ。

「お前がそんな風に思ってるなんて知らなかった」
「ちょっと見直した?」
「ちょっと、な」

君とだったら、こんなちょっとした会話すら。

「愛おしいったらないね」

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2006/11/14




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