手を伸ばす。
きっと掴んでくれるだろうと信じているから手を伸ばせる。
少しだけ汗ばんだ手が、自分の掌に躊躇することなく、触れる。
熱い。

グ、と引き寄せる事はしないのだ。
見つめ合う事もしないのだ。
唇を重ねる事も。

きっときっと、後悔ってものは後にするようなモノなのだけれど。
前にも後にもないだろう。それほど当たり前の感情になっていて。
世間体とかプライドとかの全てがどうでもよくなってしまうほど。
かといって周りが見えなくなる様な盲目的なモノでは決してなく。
物事に意味のないものなんて無いと奇麗事を吐き捨てるでもなく。
互いに視線を外し、片方は喉仏を片方は耳をジッと見つめ、一言。

「男として生まれてきた意味を捨ててくんね?」

愚問だな。
己の股にぶら下がっている物があろうが無かろうが今更関係ない。
自分のような堕落した遺伝子など後生に残さない方がいいだろう。
だから答えは既に決まってる。

「勿論、」

君がいいなら。

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2007/10/12




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