黒い。
何が、と聞かれればそれは酷く困った質問だ。
だって世の中には黒い物など多すぎて、どれを選んでいいか迷ってしまう。
例えば、あの黒くて小さい弟を、黒と例えていいのなら。
自分は一体何色なんだろうと、思う。
いつだって自身で発光していそうなあの若さと気力と未熟さと。
それらすべてひっくるめて黒と言っていいのなら。
自分は。
「でもお前は黒っていうより青だよな」
隣で不審そうにこちらを見やる弟はきっと何もわかっちゃいない。
変わらないその純粋さに自分の醜さを酷く実感してしまう自分の気持ちなど。
望まぬ形で滑稽な兄弟図をつくってしまった事も、その代償も。
お前はきっと、わからない。
それでいいのだ、これからも。
「イキナリ何言ってんだお前」
何の話かって?
「ん?未熟で青いから、青」
「な!ん、だとぉおお!」
自分の色を知るには他の色を知らないといけないっていう、話。
2007.10.23
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