何がそうさせるのかはわからなかったが、とりあえず分かっている事は頭が痛いということだろうか。
クリスマスイブなのだ、今日は。
それなのに、カップルだらけの街を彷徨いながら1人どこへ行くとも知らず、ただただ歩いていた。
空しいというのもあるが、さみしいという気持ちの方が断然強かった為に心此所に在らずという状態だった。
予約していたはずのカレンダーを取りに行くよりも欲しい本を買う方が優先された。
片手に本屋のビニール袋に入った本をぶら下げながら帰途へ付く。
寒風に負けた頭の痛みをどうにかする為にパンを一欠片ちぎり口に放り込む。
蛇口を思いきり捻り、洗ったばかりと思しきコップに注いだ。
半分は優しさで出来ているとは専ら噂の薬を取り出して水と一緒に喉へと放り込んだ。
ごきゅり。
アホくさい音が喉から出たので笑いたくなった。
笑えない。
実は喉も痛めていたので冷たい水道水が凶器に思えた。
頭が痛くて喉が痛くて鼻が詰まっている、だなんてこれはもう風邪の他ないだろう。
これで熱まで出ていれば流行りのノロなんとかの可能性もある。
あるだろうがまだこの街には広がっていないらしかった。
本当はわからない。
空は繋がっている。

自室のベッドに転がると酷く落ち着く。
毛布をきちんと被って浮いた頭でズボンをズリ下げた。
大した反応をしているわけではないが、それでも上下に擦ると熱を持って来た。
このからっぽの頭と一緒。
慣れない煙草を昨日この部屋で吸った。
匂いは十分に残っている。
思い出すのは容易すぎた。
骨太の指を脳裏に掠めながら自分の指を二本しゃぶった。
慣れてしまっていたから入れる事にさして問題はなかったが、それでも唾液だけでは痛い。
水っぽい、というより残り少ないケチャップをオムライスにかける時のような音がした。
空気に混じってやけに響く。
浅く深く上を下を入口を。
気が付いたら鼻頭がきゅうとなっていてああきっともうすぐで涙が出るということがわかった。
その通りで、感情的になって求め過ぎた身体からは塩辛いものが流れて落ちた。
あすまぁ。
声は届かない。

息を整える間、バカみたいに泣いた。




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20061231書
20071012上





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