まだまだ夏は始まったばかりなんだから、と勢いを殺された。
べったりと纏わりつくシャツをびらびらさせて同意を求めるように、なぁ、と首を傾げる。
その様を抜けたような眼で眺めていると、さっきより力のない"中"が生温い風を送ってきたので我慢ならない。
出来るだけ動きたくないのに足を伸ばしたのはお前の事信じてるから。
期待に答え、オレは元気だぜ、とばかりに首を振るお前が愛おしい。
いっそ動かなくして、独占したくなる。
愛おしすぎて、狂ってしまいそう。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜〜」
「うんやる、よくやる、だからそこから離れろ俺にも寄越せ」

避暑地になんかならなかった。
先ほど喰らったアイスも既に身体の中でどろどろになっている。
エアコンが壊れているならいるで、言ってくれればいい。
そしたら、家になんて尋ねて来ないのに。
ぐるぐる考えるのも脳味噌がぐちゃりとしそうで止めておく。
とにかく暑すぎて暑すぎて。
頼みの綱は彼一人だというのに今後の暑さに耐え得るべく、まだ本領発揮はされないまま。
そんな事をするくらいならさっさとエアコンを買い替えろ馬鹿者。
十分な力を発揮出来ない夏の扇風機が酷く可哀相でしかたがない。

「シカマルー…こっち来い、ぎゅってしてやっから」

それみろ、暑さで頭が変になったんだろう。
未だ扇風機を独占し続けるのは流石に酷とは思ったが、それでももう駄目なんだって。

「イヤデス」
「なんでだよ」

動きたくないんだって。
そんなん、お前も一緒だろうが。

「暑い!セックスでもするか!」
「ハァ?唐突すぎるしこんな暑いのにアホだろアンタ!」
「不服か?」

額から、頬、顎、落下して、腕、さらに落下して、床。
汗がポタリと落ちる。

「まさか」

ああ、頭をやられていたのはアスマだけじゃなかった。





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20080803




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