「もうすぐ梅雨ですね」
テレビのお天気お姉さんは今日も美人だった。
もっとも、好みのタイプではなかったが。




『雨と破けたビニール傘』




起きたらもう、ザアザアと雨が降っていた。
目覚めは最悪。
雨の日は、特に梅雨は無駄に湿気が多くて。
やたらムシムシして。
でも雨が降っているから窓を開けられなくて。
お陰で換気まで悪いときたもんだ。
眠い目を凝らしながらボーっとする頭に喝を入れる…ようなことはしないでそのまま30分放置。
そして今の現状に気付く。

「…何で、雨降ってんだ?」

昨日のお天気お姉さんは「明日は晴れです」と言っていた。
「天気予報というものは自然現象を予測するものであり、これはあくまで予測に過ぎないので断言するのは難しい」
だとか
「それ以前に自然現象を予測しよとするのはおこがましい」
とか何とか言っていた気象予報師を思い出しつつ、シカマルは時計を見た。
午前10時ちょい前。
ナルト及びキバとの待ち合わせは10時。因みにアカデミー前。
ダッシュしても間に合わない。
間に合う筈がない。
間に合う訳がない。
でも、雨は降っている。

きっと中止になるだろう…そう思った。
そもそも勝手に待ち合わせの約束をされたのだ、シカトしてもかまわないだろう。
そう思って、また寝転がった。

ピーンポーン

甘かった。

「シカマルー、いるんだろー?」

詰めが甘かった。

「折角雨降ってんだから予定変更して遊ぼーぜぇー」
「ワンッ!」

雨が降っているのにどうすれば遊べるというのか。
無論、二人(+一匹)のことだろう。

外で。

わかってる。
シカマルは決して馬鹿じゃないから。
あの二人(+一匹)相手に断わることなど、意味の無い行為だという事を。

少々のいら立ちと諦めを持ってシカマルは窓を開けた。
それにキバが気付き、赤丸が気付き、ナルトが気付いた。

「やっほ〜♪」

無邪気に手を振るナルトが憎い。
諦めな、という顔をするキバが憎い。
「ワンッ」と吠える赤丸は可愛い。

「ちょい待ってろ」

上着を着て玄関へとダッシュ。
家まできてもらったお陰で遅刻は免れた。それだけでも感謝せねば。

「出かけてくる」

そう母に言い残して、遅い朝食も食べずにシカマルは傘立てのビニール傘に手を伸ばした。

キィ…

ドアをあけると、すぐそこには黄色い傘と赤い傘が待っていた。

「シカマルおはよー」
「大方今まで寝てたんだろ?」
「うっせー。わかってんならそのまま寝かせてくれよ…」

ニヤつく二人を軽くあしらって傘をさした。
穴が空いていた。
シカマルは気がつかなかった。

「…ダサッ」
「あはははは!それなんだってばよ〜!」
「あ〜?イキナリ何言って………あー……キバの言う通り、こりゃダセーわ…」

もう遅い。
空いた穴から雨ザアザア。
頭も冷えて、むしろ今の自分には丁度良いくらい。

「…あーもーオレ、すっげーイケてねーっ!!あっはははははっ!!」




笑い声が響いて後、虹がかかる事を、彼等はまだ知らない。




*****
三人+1匹でにゃんにゃんしてればいい。
20040516




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