どうにもならないことが、あるよ。

それは例えば『高鳴る鼓動』だったり。
『どうにもならないこと』だったり。
『空回りの毎日』だったり。
『詰め込んだ鞄』だったり。
『その道、行き止まり。』だったり。
『揺らいで、歪んで』だったり。
『繋いだ手と手』だったり。
そんなどうにもならないことが、この世の中には。

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first→『高鳴る鼓動』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば血色の良いきみがベッドに押し倒してくれた時。
何何何なのと言ってもただ熱い視線を向けるだけ。
嬉しいさ。そりゃあ嬉しいさ当たり前だろう。
だけどほっぺたを真っ赤にして潤んだ目で見つめてさ。
そんな技、誰に教えてもらったんですかすごく気になっちゃう。
そんな気持ちとは関係無しにドッコンドッコン五月蝿い。
己の心の臟はこれでもか、これでもか、と言わんばかりに弁を急かす。
ノーと言えない日本人。日本人は最初から「ノー」なんて言わないけどね。

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next→『どうにもならないこと』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば3分後に起きるであろうレンタル映画のセックスシーン。
いつもは本ばかり読んでいるきみが珍しく借りてきたそれ。
映画館で先取りした事も言えず、何となく見る流れとなったそれ。
ソファに並んで座ったのがきっとまずかったと思うんだ。
だからあと40秒、頃合を見計らって台所に行こう。
ホットミルクを作り終え、何事もなかったように隣に座ってやる。
耳を真っ赤にして、何事もなかったように振る舞うきみを。
是非、見てやりたいと思うこの気持ち。

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next→『空回りの毎日』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば壊れたテープレコーダーのようなだいすき。
浮かんだ気持ちは言わなければ身体の中で爆発してしまうだろう。
でも言い続けてしまった為に本気として捕らえられていないらしい。
真摯に健気に伝え続けた言葉はゆらりくらりと躱される。
ストライクを投げてたつもりがいつの間にかフォアボール。
もとよりバッターは打つ気すらないらしい。
それでも自分はバカだから投げ続けるしかないんだよ。
これ以外に、傷つけずに伝える方法が思い付かない。

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next→『詰め込んだ鞄』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば恰好をつけたかった年頃男児のぺらっぺらの黒革。
それなりに値が張ったのに若さ故の探究心で一日二日で年期モノ。
でっかいステッカーをバッチリ貼って自己主張も完璧。
赤ペンとシャーペンと変な形のケシゴムしか入ってないペンケース。
近所のコンビニで買ったチップスターのコンソメとミントガム。
だいすきなマイナーバンドから最新のポップスまで網羅したiPod。
そして誰よりも大切にしたくて隣で笑っていたいきみへのこの気持ちを。
ぎゅうぎゅうに押し込む毎日。

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next→『その道、行き止まり。』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば初めて通る帰り道を適当に通ったときの好奇心。
後ろにのっけたきみが文句1つ言わず行け行けと言ってくれるテンション。
調子に乗って知ってる道からどんどん外れていくちゃりんこと羽目と2人。
少々の不安と一緒にいる安堵を持って日が落ちるのも忘れるスピード。
右左右で曲がった後に出現したネコについて行くという突然の提案。
その2秒後、へったくそなスプレーアートにけなされるという爽快感。
近所迷惑もそっちのけで笑いあったあの暑い暑い夏の日。
それを愛おしく思う、この感情。

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next→『揺らいで、歪んで』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば言葉にならない感情と共に川でたそがれていた青春。
自転車をそこらに乗り捨てて川に映る不細工な色男と目があうミラクル。
ぐちゃぐちゃの泣き笑いをどうにかしたくて袖で目をごしごしと拭う。
それでも溢れる涙にきっと脱水症状か何かで死ぬんじゃないだろうか、なんて。
漫画みたいに出ればいいのに不細工な色男はだだ漏れの塩辛いそれを川へぽちゃりと。
ああごめんよミジンコ君たち。危害を加えるつもりはなかったんだ。
言葉を借りるならなんて女々しいと更に嘆く不細工な色男。
何も言わずただ隣にいてくれる不細工な色男、の、ともだち以上、ともだち未満。

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last→『繋いだ手と手』


















































 


どうにもならないことがあるよ。

それは例えば性別。
誕生日。
国の法律。
世間の目。
昨日の事故。
明日の病室。
このきもち。
握り締めた掌の温度。

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07.05.03 ALL write
07.05.31 up

Thanks.
無差別アウトロー





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