たまたま

カミサマってやつがもしこの世にいるとするならば。
それはカミサマすら予想出来ずにいた、ただの。

ぐるり、顔を一撫でする変な癖は小さい頃からのものだから今更直せない。
お世辞にも奇麗とは言い難いその動作で見れなかった世間の常識など大したものじゃない。
顎が外れるくらいに口を大きく開けて溜まっていた物を吐き出す。
眠いのだ。ものすごく。
春眠暁を覚えずと古人が残した言葉は現代社会にも残っている。
そんな後生に残る様な言葉など出せなくていいからどうかおねがい安眠をおくれ。
眠れない理由がそこに転がっている。
うつらうつら。
午後の陽射しは優しい。
意識を手放しかけると規則正しい子どもみたいな寝息が近づく。
このまま自分も落ちてしまえば。
さすればきっと、あとで後悔しようがきっと今は満足する。
けれども、この。

「…嬉しいんだけど、ちょ、恥ずかしいねコレ」

キバの背中があたたかい。
肩に顎を乗せ、今にも落ちそうな所で声をかけられたのでどうしようもない。

「うん、でももちっとだけ」

たまたま。
休みの日が重なっただけさ。

たまたま。
くっつきたいって思っただけさ。

たまたま。
キバよりほんのちょっと先に、ね。

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next→『いやいや』


















































 


いやいや

ありえないだろうそれは、と何度連呼されたって構うもんか。
組み敷いたこの現状ではどちらが優勢なんて言わなくたってわかるだろう。
散った黒髪をちょいちょいと引っ張る。
観念しな、という様に。

「いやいや…」

お前が悪い。
自意識過剰と言われたって構わない。
でもその所行はあまりに誘っていた。
理性なんて軽く5、6メートルは蹴飛ばした。
だからオレのせいじゃない。

「いやいやいやいや…!」

黙れ。
さっさと抱かれろ。

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next→『はいはい』


















































 


はいはい

友達以上を目指すよ。
けれども恋人なんていうのにはなりたくないんだ。

「はいはい」

聞いているのかいないのか。
熱弁するオレを他所によくもまぁそんな明らかにつまらなそうな本を読めるわけだ。
喧嘩を売っているとしか思えない。
それでも飽きもせず続けるのは確りと聞いてくれているのを知っているからなのだよ。
そこに生まれるそれはオレだけのものだからなのだよ。

恋人なんてなりたかないね。
そんな枠に捕らわれたかないね。
そんなありふれた代名詞なんかじゃオレの代わりは勤まりません。
安く見ないで頂戴。

「はいはい」

オレはいつだって君のそのいとおしさに溢れた愛でも恋でもない感情をぶつけられる唯一の相手でいたいわけよ。
わかる?

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next→『ねぇねぇ』


















































 


ねぇねぇ

語尾をだるだるに伸ばした媚びた声がすきじゃない。
もっと言えば嫌いだ。
だって気持ち悪いだろう。

「ねぇねぇ、シカちゃん」

コイツ以外に言われたら。

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next→『好きさ好きさ』


















































 


好きさ好きさ

言葉の大安売りだな。
死んだような目でそう言われたのが非常に癪だった為、今後一切言うのを止めようと誓う。

その、翌日。

「シカちゃん!す、…」

おっと、危ない。

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07.04.11 ALL write
07.04.13 up

Thanks.
無差別アウトロー





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