1.命くらい掛けれなくちゃ、女が廃る
「一緒に行ってくれるか」
わざわざ言われなくてもそう言う事くらい分かっていた。
その真剣な面持ちは私よりも酷く。
そういえば一番親しかったのは彼だったかもしれない。
共にいた時間が一番長かったのは彼だったかもしれない。
同じ気持ちなのにこの決意の違いは何だろう。
力の無さは嫌という程知っている。
『犬死に』っていう言葉も、その意味も知っている。
でも。
「当たり前じゃない」
命くらい掛けれなくちゃ、女が廃る。
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2.お前がいなければ、世界は終わったも同じ事
ユラユラと煙が舞う。
中毒者みたいに馬鹿みたいに息を吸い込んで取り込む。
よくよく考えてみれば、出会わなかったとはいえ自分は彼の存在しない世界にいなかった。
これが初めてで、それは今後ずっと続く事実。
胸にポッカリと穴が空いたという表現は今の自分を非常に巧く表している。
何をするにもとある虚無感が付きまとう。
依存しすぎていることくらいわかってる。
終わった世界でオレは一体何をすればいいんだろう。
後を追うということも出来ずに、オレは。
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3.だけどいつだってあの空は
空を上手く見上げる事が困難となったのはいつだ。
眺める事ができなくなった。
ただ青を瞳に映しているだけだ。
実際は映しているのかも疑わしい。
何で世界はもっと悲しみに包まれないのだと思う。
酷く憤慨する。
それは間違いで勘違いで自己中心的考えだ。
知っているのに思ってしまう自分はなんて浅はかな人間だ。
変わらない。
オレごときの感情なんかじゃ変わりなどしない。
こんなに身勝手なことを考えている。
心底笑える。
だけどいつだってあの空は、相も変わらず青いままなのだ。
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4.貴方の道を照らし続けれるなら
例えば、自縛霊としてこの世に留まってもいい。
憂いてくれるのは大変嬉しいが、そんなにやつれるのは望んでいない。
死んだこの身となっては今更己の魂がどうなろうと構わない。
お前さえ真っ当に生きてくれれば、それで。
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5.歩幅も揃った所で、行きましょうか
ボロボロだ。
あれから初めて見た印象だった。
まず目が死んでいる。
どこを見ているのか、焦点が定まっていないように感じる。
それなのに普通に歩くもんだから大したものだと思う。
そして多分一睡もしていない。
それなのに呂律が回るのは本当にすごいと思う。
自分の幼馴染みはこんなにも聡明で愚鈍で儚かっただろうか。
触ったら壊れてしまいそうだった。
支えてやりたかった、友として。
何も出来なかった、友だから。
だから、せめて。
僕ら第十班。
歩幅も揃った所で、行きましょうか。
この景色が見納めになるとしても。
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06.11.26 ALL write
06.12.16 up
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小瓶のススメ
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