秋が来る度に、思う。
ああ、今年もか、って。
何とも言い難い気持ち。
夜中にも関わらず、気がついたら走り出していた。

流石に夜道は冷えるけど、鼓動が熱くて丁度いい。
部屋の明かりはまだついていた。
はぁっ、と息を切らし、鼓動をおさめようと努めた。
小石を拾い上げ、ガラスが傷つくのを恐れず、かといって大きな音を立てないように適度な力で投げ付けた。
コツンといい具合の軽い音が鳴り、暫くしてシカマルが顔を出した。
シカマルは少し驚いたような顔をして辺りを見回した。
それに構わずそっと近づく。

「来ちゃった」

掠れた、耳打ちをするような小さい声で言う。
入ってもいい?だなんて聞かない。
言わせないし、元より言うはずもない。

「おじゃましまーす」

靴を脱いで並べ、窓を閉めた。

一番に、会いたかった。
もうすぐで時計の針が動く。
間に合ってよかったと思うと同時にシカマルの唇が動いた。

「遅ぇよ」

冷えた体はシカマルの体温で暖かくなる。
だけど、逆にシカマルの体温は自分のせいで低くなってしまうのではと懸念する。
そんなに強く抱き締められたら、痛い。

「ごめんね」

忍者は私用を挟まず。
当たり前だ。
昨日からの任務は思った以上に長引いてしまった。

「オレ、一番最後じゃね?」

眉を寄せて、少し不満そうな顔をする。
そんな事気にしていたの?
わたしの為に?

いつもなら女々しいだなんて言って、そういう事を毛嫌うのに。
わたしの為に。

「一番最後だって、いいに決まってるじゃない」
「……」
「祝って、くれるんでしょ?」

言葉なんてない。
唇に、そっと触れた。

「……んっ…ふ、ぅ」

声が漏れるのがもどかしい。
すべて吸い込んでくれたらいいのに。
満たしてくれたらいいのに。

頭がボーっとして、視界も少し振れて。
シカマルをハッキリ捕らえられないでいた。
見つめていたい。
今はまだ。

囚われの、秋。

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書上:2006/09/23
謝々:Vanira@恋愛中毒

赤裸々な5のお題 Ver.6
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