知っているはずが無いよね。
だからさ、教えてあげるから。




祝ってよ。




「あ」
「…っ!」
先程まで両手いっぱいにプレゼントを抱えていたカカシは、たった今それらを道にぶちまけてしまった。
ドンッ、と鈍い音がした。
その後に、ドサドサッとものが落ちた音がした。
壊れ物が入ってたらヤバいよなぁ…などと悠長に考えつつも、プレゼントの山に埋もれた被害者を引っ張って起こしてあげた。




「…ども」
「ごめーんな?」
「…や、こっちこそ…すんません」
「君が急いでるなんて、珍しいね」
フフッと笑った顔は、目だけしか見えていないのになんだか優しい顔つきに見えた。
「別に、急いでた訳じゃないんスけどね」
話すのは初めてでは無い。
だが、あまり話した事も無い上忍を相手に何を話せばいいのか。
沈黙は何となく空気が重くなるような気がしてイヤだったので、とりあえず、シカマルもつられてはにかんでみた。
案の定、ニコ、と返された。
そう言った類の反応が帰ってくる事ぐらいわかるのに、それでも少し照れた。
恥ずかしさを紛らわす為に、視線をフイッと逸らして視界に入ったのは。
「…っつーか、それ拾わなくてもいいンすか?」
道にぶちまけられた綺麗に包装された物を横目で訪ねる。
「…拾わなくちゃだねー」
ああ、それね。と言わんばかりののんびりとした口調でカカシは答える。
「手伝います」
「あ、ホントー?いやぁ助かるなー」

結構な量だった。
「…今日、誕生日なんすか?」
何となく聞いてみただけ。
それなのに、カカシはひどく驚いた顔をしていた。
「なん、で、知ってるの…?」
そこまで動揺する事も無いだろうに。
綺麗に包装された物を何種類か持っていれば、自然とそう思わないだろうか。
「…や、ナルトが最近騒いでたし、プレゼント持ってたからそうかな、って」
「…そうだよ」
「誕生日、おめっとございまーす」
そう言って、シカマルはプレゼントを拾うのを再開した。

さっき何人もの人に貰った言葉なのに。
どうしてこうも嬉しいんだろうか。
どうしてこうも顔の筋肉が緩みそうなのか。

ああ、よかった。
マスクをしてて。
額当てかぶせてて。

じゃなきゃ、表情でバレてたかも。

「ありがと。これで全部だよ」
「それじゃ」
反対方向へと進んでいくシカマルの腕を、思わず掴んでしまった。
「…なんスか」
「シカマル」
「?」
「プレゼント、ありがとう」
「?…ッス」
去ってゆく小さな後ろ姿。
それを見送って、カカシはまた両手でプレゼントの山を抱えて歩き出した。




「…あと、丁度一週間か…」




ねぇ、君の誕生日に、オレは何をあげられる?
君には最高のプレゼント貰ったからさ、お返しって事で。




*****

どんな物より君のくれる言葉の方が嬉しいんだよって話。

シカマルとぶつかる前に避けられたんだけど、シカマルってわかってワザと避けなかったなんて内緒。
上忍ですから。

滑り込みセーフな感じでカカシ、誕生日おめでとう。
今更だけどシカマルを祝っていない事に気付いた(アイッター!)

20040915

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