43.新世界

ブラインドを上げると、そこは別世界だった。

一面白銀。
庭も道も全て雪に埋もれている。
木ノ葉の里は雪なんて滅多に降らない。
例えそれが木ノ葉最北端の場所でも、だ。
寒さで起きるなんてただ事では無いとは思っていた。
これなら十分すぎるほど納得がいく。
道理で寒い筈だ。
部屋でさえ、息は白かったのだから。

12月末の今、こんなにも世界が白に染まるなんて。
知らなかった。
こんな光景。
冷たすぎる空気に晒された頬も気にならない。
心が躍った。
ガラじゃないが、この窓から飛び出したかった。
時折ひゅぅっと吹く風を、いつまでも受けていた。

「シカマル」

呼ばれ、下を見やると極々見なれた姿。
ざくざくと音を立てて歩くその様はいつもと何ら変わらない。
違っているのは、コートにマフラー、手袋と完全防備している所か。
手を上げて気付いた事を知らせると、瞬間白い物体が。
どうやら見なれない光景に高揚しているのは自分だけでは無いらしい。

「バァカ、当たってたまるかよ」
「ナイスキャッチ」

素手で雪玉を掴むのは冷たい。
だが、気持ちいい。
一旦部屋に引っ込み、コートと手袋を出した。
階段を下りるより窓から飛び下りた方が早いだろう。
窓に手を掛けた。
もし落ちても大丈夫。
雪が受け止めてくれる筈。

自分で言うのもなんだが、珍しい事もあるものだ。
まだ朝食も摂っていないというのに。
耳を赤くして、新世界へと飛び込んでいった。

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2005/12/22

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